「狂い」の構造 / 春日 武彦,平山 夢明

「面倒くさい」が「狂い」の始まり

狂人が好きな作家と、ヤベー奴らをいっぱい見てきた精神科医の対談本。サクサク読めて大変面白かった。

狂人という言葉を聞けばダークナイトのジョーカーみたいな分かりやすいヤベー奴を連想するんだけど、この本を読んでると「あっ、普通の人間が面倒くさがって、なんかの拍子に麻痺して足がもつれるのも相当やべえぞ」ということに気づかされる。

恐ろしいほどの精神の雑さ、
問題に対する想像力と直視力の欠如、
脳を麻痺させる怠慢の積み重ね、
面倒くささとともに吐き出される「疲れた」という言葉、
尊大さ、
鈍感さが
人を狂わせる。

例としては、

・ストーブの灯油がなくなったから、缶に火を入れて家の中で焚き始めるやつ

・先生が産婦人科に勤めていた時にいっぱいいたという「堕胎する金がないので産みました」という目先の発想(赤ちゃんポストにGO)

・姉は戸籍に入れて学校に行かせているのに、弟は戸籍だけ、金がないとしてずっと入れていない(当の母親は「私が悪いんです」と、問題直視能力が欠如していた)

・ベンツに乗ってるのに給食費を払わない家庭

・俺様的な理不尽さを感じての発想力がない言動(万引き犯が「今なら盗めるのに、1200円も払うなんて…今ならタダなのに…1200円も払わなくちゃいけないの…?タダなのに?どうして?」という被害者思考で疲弊し、理由が正当化され、結果自制心を失って万引きする等)

・面倒くさがって口先でつじつまを合わせていたが、やがてつじつまが合わなくなってワーッってなって、スッキリさせるために殺人を犯す、みたいなやつ。(うろ覚え)

日常系でも発展していって十分にやべえなこいつってのも多々あるなって感じ。(もちろんみんなが大好きな狂人殺人鬼の話もあったよ!)

個人的には、作家さんが言っていた「全然本が書けなかった低迷期に、先生に言ったら、部屋汚いでしょ?掃除しろって。なんかモリモリ元気が出る薬でもくれるのかと思ったのに。仕方ないから掃除したら、本6冊書けた。次の年12冊書けた」という話で、アッ……私も掃除しよ……ってなるなどした。

この本には続編があるんだけど、「無力感は狂いの始まり 「狂い」の構造2」ってタイトルらしいので、なるほど?無気力も相当なんだな?